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「人手不足は時代のせい」とあきらめる前にやりたいこと

「飲食店のあるある」をビジネスの観点から掘り下げた内容を発信するマガジンです。

業界別の働き手の入職率・離職率どちらも、最も高いのが飲食業(※)。正社員の勤続年数は3年以下が6割と、長く働いてくれる人材が少ないのも経営者の頭を悩ませる問題です。
人手不足を時代のせいにすることなく、働き手の応募が殺到する人気店にするには...?? 今回は「スタッフが働きやすい飲食店」をビジネスメガネしていきます!


働きやすさはコミュニケーションから

仲間との信頼関係を築き、日々のやりとりを通じて働きやすい環境を整えることはどんな職場でも非常に大切です。本記事を読み終えた瞬間からすぐにできる、カンタンな工夫を見ていきましょう。

信頼関係を生む声かけの種類

スタッフとの信頼関係を築くのに効果的なのは日常的な声かけですが、中でも感謝の気持ちを口に出して言うことが大切です。ちょっとしたことでも「ありがとう」「助かったよ」「ここ気づいてくれたんだね」といった言葉をいろんな場面で伝えることで、お店で働くことの安心感や親しみを感じてもらえます。また、日常会話の中でスタッフの意見にも耳を傾けることで、一方的でなくお互いに話ができる関係性だと感じることができ、信頼関係につながっていくでしょう。

スタッフ面談の意味とは?

スタッフとは「面談のための時間」を取るようにしましょう。接客やホールなど普段の業務中にはできない会話ができる定期的な面談は、仕事での悩みや意見を聞く良い機会です。面談を通して目標を聞いたり改善点を共有したりすることで、スタッフの意欲向上にもつながります。ここでも大切なのは、「お互いに話をする関係である」と思ってもらうこと。一方的な改善点の指示ではなく、スタッフ自身がどうなっていきたいと思っているかと合わせて日々の働きに対するアドバイスを行うことで、成長実感ややりがいを感じてもらうことができます。


モチベーションを上げる“仕組み”

離職率を下げてスタッフの定着率を向上させるために、スタッフがモチベーション高く働いてくれる“仕組み”も整えておきましょう。

“仕組み”で作り出す達成感

人間は、目標があるとそこに向かってモチベーションを高めやすくなる生き物です。飲食店での仕事にもやはり、目標を設定することが有効です。例えば、1日の売上や接客数、特定メニューの受注数などその日の売上に関わる目標でもいいですし、SNS投稿でフォロワーを20人獲得する、次のシーズン限定メニューの案を2つ考えるなど中期的な目標でもいいでしょう。

達成したタイミングや達成状況に応じた基準で評価を行い、小さな達成でも認めてもらえると自分の仕事に対するやりがいを感じられます。お店の業務以外でもスタッフが将来やりたいことと連動していると、より楽しんで取り組んでくれるはずです。

お金の報酬、お金以外の報酬

売上や接客評価など、目標達成に応じてもらえる報酬やインセンティブは、スタッフの努力が反映された結果。がんばりが報われるとモチベーションに直結します。金銭的なボーナスはもちろんですが、まかないのグレードアップや研究補助として他店での食事補助を出してみたり、スタッフ投票で選ばれた最優秀スタッフにギフトカードをプレゼントするなどのスタッフ同士で称賛し合える制度も良いでしょう。

いろんなタイプの報酬を用意しておくのも多くのスタッフのやる気を引き出すコツです。

まる見えでわかりやすい評価制度に

公平で誰からもわかりやすい評価制度を作り、あらかじめ公開しておくことも重要です。どうなったら昇給、昇格するのか基準を明確にしておくことで、スタッフが納得して働ける環境が整います。わかりやすい基準と公平な評価によりスタッフが「ここは自分が不当に扱われない環境だ」と感じられ、モチベーションや定着率に良い影響を与えます。

“やりたいこと”を支援する会社になる

スタッフにキャリアアップの機会を提供することも、モチベーション向上につながります。関連資格の取得支援やリーダーシップ研修など、スキル向上の支援を行うことで「この店で成長できる」「やりがいがある」という実感を持ってもらえます。成長を意識して働ける環境を用意することで、スタッフの定着率向上に貢献します。


スタッフが長く働きやすい環境を提供するには、柔軟なシフト管理や業務効率の向上による負担の軽減が大切です。

十人十色のスタッフに合わせるシフト

子育てや学業に配慮したシフトが必要な人、毎月安定したスケジュールにしたい人、稼働意欲は高いけど直前まで予定が決まりにくい人、スタッフは十人十色の事情や希望を抱えています。すべてに応えることはもちろんできませんが、スマホアプリやクラウドベースのシフト管理ツールを活用することで、シフトに関するコミュニケーションがグッとスムーズになり、スタッフの希望とお店の効率的な運営を両立できるケースも多いはずです。

スタッフ負担を軽減するツール/システム

業務効率化による負担軽減も、働きやすい環境づくりに重要です。たとえば、業務フローの見直しやオーダー管理、在庫管理システムの導入で、スタッフがスムーズに作業を進められる環境を整えることができます。清掃に使うグッズを変えて負担を減らすなど、小さな工夫から始めるのも良いでしょう。時間帯ごとのスタッフ同士の役割分担を工夫できないか見直してみるなど、業務効率化につながりそうなアイディアは積極的に取り入れてみましょう。


スタッフの成長支援と働きやすい環境づくり

スキルアップとメンタルケアを大切にする取り組みは、スタッフにとって働きやすく、魅力のある職場環境になります。

スタッフ教育と研修のプログラム化

スタッフ教育には、接客や調理の基本スキルだけでなく、定期的なスキルアップ支援も重要です。これまでやっている研修も、テーマを持たせて「新しい業務の習得」や「苦手分野の克服」などとしてプログラム化して提供することで、スタッフは「ここまでできた」と実感しやすくなります。ここなら成長できると感じられることで、長期的な定着につながります。

ストレス管理や寄り添いでスタッフを支える

ストレス管理含め、スタッフが心身ともに健康でいられることも、離職防止には欠かせません。飲食業界の業務は長時間になりやすく、体力と精神力が求められることも多いもの。定期的にケアできる体制を作りましょう。職場の中にスタッフがリフレッシュできる休憩スペースを作ったり、困りやストレスについて相談しやすい環境を整えたりしてスタッフの激務に寄り添うことで、働きやすさが向上します。


テクノロジーは大いに使う!

業務効率化とスタッフの負担軽減に効果的なテクノロジーは、どんどん活用しましょう!

店長を楽にする!シフト管理アプリや在庫管理システム

シフト管理アプリや在庫管理システムの導入は、店長の業務の効率化に大きく貢献します。シフトの自動作成や在庫の効率的な管理によって、スタッフや店舗在庫の管理のための業務が簡素化されるので、業務の負担が軽減されます。本来注力したいスタッフ教育やメニュー開発に割く時間が出てくるはずです。

スタッフを楽にする!配膳ロボットやモバイルオーダー

配膳ロボットやモバイルオーダーシステムを導入することで、スタッフが効率的に業務を進められます。特に、忙しい時間帯にはロボットが配膳を担当することで体力的にもスタッフの負担が減り、全体的なサービス品質の向上に役立つでしょう。


まとめ

いかがでしたか?人手不足の飲食業界で、優秀なスタッフを多く、長く集めるのは大変なことですが、今やっていることに少し工夫を加えたり、思い切ってツールやシステムを導入したりすることでグッと働きやすい職場にすることができます。今日から始める少しずつの工夫で、「ここで働きたいです!」という応募が絶え間なく舞い込む魅力的な職場を作っていきましょう!

※:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf