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採用担当者がジェンダーギャップの解消に向き合う葛藤と今日からできること

初めまして、多くの人が熱中・没頭し、生き生きできる環境を作りたいshimizuです。
freeeではproduct dev新卒採用マネージャーを担当しています。
この記事は、freee DEI アドベントカレンダー「私とDEI」9日目の記事です。

本記事は、以下の方を想定読者として新卒採用においてDEI、特にジェンダーギャップ解消に取り組まれる際に1mmでも参考になるといいな〜という思いで私なりの考えを共有させていただきます。
(記事中では便宜上、”男性” ”女性”という言葉を使っていますが、一人一人の個別に事情がある、という前提でお読みいただけると嬉しいです。)

▼想定読者
・ITベンチャー企業でtech新卒採用を担当されている方
・DEIの中でも特にジェンダーギャップをテーマに取り組まれている方
・業務で初めてDEIについて考えることになった方

筆者のバックグラウンド

最初に、私のプロフィールを簡単に共有させていただければと思います。
▼筆者プロフィール
・関西生まれ
・地方国立大学文系 学部卒
・性別:男性
・母子家庭で一人っ子で育ち、祖父母に育ててもらっていた

2019年新卒で人材系で新卒採用支援を行うベンチャーに入社し、学生集客のためのコンテンツマーケを担当しておりました。

当時、漠然と「イキイキと働く人が増えるといいな」と思っており、「自分の人生に向き合って意思決定する人を増やしたい」という気持ちで新卒採用支援を行う会社をファーストキャリアとして選びました。

仕事を通じて様々な会社と出会い、イキイキと働くためには個人が没頭・熱中でき、本人のパフォーマンスを最大限引き出せる組織や労働環境が重要であると気づきました。みんながイキイキと働ける組織を作る側になろう!という思いで、未経験ながらfreeeに新卒採用担当として入社しました。

新卒採用でジェンダーギャップ解消に取り組むことになるまで

新卒エンジニアの採用という業務は、非常に難易度が高く、すごく苦労しました。日に日に競争が激化するエンジニア採用市場に今も頭を悩ませております。

そんな中、さらに頭を悩ませる課題がやってきます。「女性エンジニアの採用」です。

近年、日本の企業においても「ジェンダーギャップの解消」に取り組まれている事例が多く、採用担当の方でこう言ったテーマに関わっている方も多いのではないでしょうか。

私も例に漏れず、「テック組織におけるジェンダーギャップの解消」を主目的に、エンジニア新卒採用において意識的に女性エンジニアの採用に取り組むことになりました。

当初は、DEIチームやエンジニア組織と議論した上で努力目標を設定し、「できるだけ頑張ろう。」といった温度感で取り組んでいました。
もちろん、女性のみを優遇する、なんて事は一切やりません。

しかし、実際にやってみると
・そもそもコンピューターサイエンスを専攻している女性が非常に少ない
・さらにそもそも、理系を専攻している女性が少ない
・努力目標程度では何も変わらない
という事実に直面しました。

大前提、激化しているエンジニア採用市場。男性を含めても数は多くありません。さらに調べてみると、新卒でエンジニア就活をする女性の数は男性の3分の1程度になるそうです。(国勢調査、学校基本調査などから独自算出。)

恥ずかしながら、こう言った事実を知らなかった私は「え????こんなに女性エンジニアって世の中にいないの??????」とほぼ毎日思っていました。

この事実が発覚し、エンジニア新卒採用チームでは、努力目標ではなく明確な目標を設定することになります。
何度もエンジニアメンバーやDEI組織のメンバー、人事企画のメンバーとも議論した上で、様々な人の意思を込めて目標を設定しました。

葛藤した挙句、全然成果が出なかった

目標も決まり、チーム的には「さあ本格的に取り組もう!」という雰囲気になる中で、私は正直なところ非常に違和感がありました。

・エンジニア採用の難易度が非常に高い中で、このテーマをやる余裕はあるのか?
・他に重要なテーマがあるのではないか?
・そもそもジェンダーギャップを解消することが会社にとっていいことなのか?

こう言ったモヤモヤが頭から離れず、なかなか本腰を入れられない、周囲を引っ張れるリーダーシップを取れない自分にも嫌気がさしていました。

「仕事なんだから黙ってやれよ」と思っている自分と、「生半可な気持ちで取り組むことは失礼ではないか」という自分が共存していました。

こんな状況なので、当たり前に成果はでていませんでした。
目標を掲げるだけで、何も状況を変えられない。

今振り返ると、正直このテーマが難しすぎて、楽な方に逃げたい自分もいたのだと思います。

とにかくいろんな人に話を聞いてみた

とはいえ、一度やると決めたことをなあなあにするのはさすがに違うなと思い、このテーマに率先して取り組んでいるメンバーに、とにかく話を聞きにいってみました。

「なぜテック組織のジェンダーギャップをフラットにする必要があるのか」
「それによって事業成長ができるのか」
などなどとにかく気になったことを投げてみました。

また、先進的に採用においてDEIに取り組まれている企業の方々にも、お話しする機会をいただき、
「ジェンダーギャップ解消のための採用施策を始めた経緯」
「実際に事業/経営インパクトにつながっているのか」
「推進する上でのハードルや困難はあるか」
などをお伺いしました。(ご協力いただいた企業の皆さん、ありがとうございました)

同時並行で、自社のテックカンファレンスやカジュアル面談に来ていただいた候補者さんや、freeeに新卒で入社した女性エンジニアにとにかく話を聞いてみました。

「そもそもなぜプログラミングを始めたのか」
「普段プログラミング学習で困ることはあるか」
「freeeで働いていて、違和感を感じることはあるか」

数十人に話を聞いた結果わかったのは、
「絶対に事業が伸びるなんていうロジックはない(仮説はあるけど)」
「女性エンジニアというだけで、大きなハードルを感じている人が少なくない」
ということでした。
そして、女性エンジニアや学生の皆さんに話を聞くと、「生まれもった性別と周囲の環境が要因で、パフォーマンスを発揮しきれていない」という事実に気がつきました。

「ハッカソンに出ようと思ってもなかなか誘える友人がいない」
「男性が多い中で、女性の自分が仲間に入れて!と声をかけづらい」
「安心してプログラミングについて聞ける場所がない」

など。せっかく興味を持っても没頭・熱中するまでに様々なハードルがあり、途中で道を離れてしまうケースもたくさんあるのです。

多くの方々の話を聞くにつれ、私の「女性エンジニアの採用」というテーマへの考え方が変わりました。
上述しましたが、私は「生き生きした人を増やしたい」「没頭・熱中し、パフォーマンスを最大化できる人を増やしたい」と思い、新卒採用という職種を選んでいます。

「女性だから」採用にコミットするのではなく、「外部環境が要因で没頭できていない人」がいるからコミットする。特に女性に関しては、それが顕著であるから優先的に取り組む。そのように落とし込むことができました。

向き合う対象を知ることから、全てが始まる

もし私が、悩んでいる時の自分にアドバイスをするなら「つべこべ言わず、まずは話を聞こう」と、伝えると思います。

すぐに課題を解決できなくても、知識がなくても、話を聞くことはできます。どう思っているのか、どんな経験をしてきたのか、30分話を聞くだけでも新しい発見がたくさんありました。

たくさんの人に話を聴く中で、個人的には特に以下の三つが重要だと感じました。
①そもそもプログラミングに興味を持つ女性学生が少ない
②興味を持てないのではなく、ステレオタイプや機会がないだけ
③組織のジェンダー比率が変わればきっといいことが起こると信じている

今、freeeでは「就職活動が本格化する前に安心してプログラミング学習ができる場所と機会の提供」に力を入れ、発信やコミュニティ作りに取り組んでいます。
▼活動例(興味を持っていただいた学生さん!お待ちしてます!)

この結論にいたり、行動に移せたのも、全て女性エンジニアや学生の皆さん、課題に最前線で取り組んでいる方々に話を聞いてみたことから始まっています。

まず話を聞く。そして向き合う対象を理解する。
私にとってはそれが、ジェンダーギャップの解消に向けて、今日からできることでした。
一緒にワクワクする未来に向けて挑戦しましょう!!