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選択肢を広げながら前に進む

こんにちは。CCO(Chief Culture Officer)のつじもです。
この記事はfreeeDEIアドベントカレンダー2024、25日目の記事です。

「私とDEI (Diversity, Equity & Inclusion)」というテーマで24人のfreeersに語ってきてもらったアドベントカレンダー、いよいよ最終日となります。
普段はCCOとして、freeeを主語として考えたり発信する機会が多いのですが、今日はいったんそれを脇に置いて、自分自身の話をさせてもらえればと思います。

スペース左側に笑顔の顔写真。右のスペースは上から順に名前、役職、プロフィール。名前欄は「辻本祐佳 tjm/つじも」役職欄は「Chief Culture Officer 兼 DEIチーム マネージャー」プロフィール欄は「2017年8月にfreee入社、2020年7月にCCO着任、2022年10月より現職。趣味は読書とCOTENラジオを聴くこと。」

DEIとは「選択肢が広がること」

今、わたしは、社会の中のギャップを解消して、社会の中の選択肢を広げるために働いています。
freeeではグロースビジョンという制度で、定期的に自分自身が数年単位でやりたいことを考えるタイミングがあるのですが、数年前にfreeeのCCOとしてfreeeにとって何を”すべき”なのか、を考えすぎて迷子になっていた頃、思いつくままに書き殴ったのが以下の文章です。

大きくは「後輩世代の選択肢を増やす」、自身の子ども世代やその先も含めて。
選択肢を増やすために自身が取り組みたいのは、ギャップの解消。
大前提として世の中にギャップはたくさんあり、マイノリティ側はギャップを前提に戦わざるを得ないことで、本来のその人の価値を発揮しきれないというケースはいくらでもある
:地方と都会の差しかり
:大企業とスモールビジネスの差しかり
組織の中にも、ジェンダーギャップだけでなく、年齢、言語、学歴、身体・精神的特徴、他にも色んなギャップはある
ジェンダーギャップにかぎらず不合理なギャップは解消していきたい。

なぜこう考えるに至ったのか?
遡ってみると、人生の中で2つ、大きなきっかけがあったと思います。
1つは大学生のときに経験した就職活動、もう1つは育児休暇からの復帰後の奮闘です。
その話をさせてください。

田舎育ち、東京へ出る

わたしの故郷は和歌山の片田舎で、近所には信号機もコンビニも電車の駅もなく、バスは1日に数本(今はもっと減っているかも)。あるのは山と田んぼと川。そんな環境で、19歳まで育ちました。父とは幼い頃に死別しており、同居する祖父母の手も借りつつ、母が市役所の嘱託職員として働いて育ててくれました。
わたしは小さな頃から本の虫で、本の中で描かれる舞台としてよく出てくる「東京」に対する漠然とした憧れから、東京の大学を志望して進学しました。(今となって振り返れば素朴すぎる進路の決め方ですが、チャレンジさせてくれた母と奨学金制度に心から感謝しています。)

わたしが世間知らずなのか?知る術がなかったのか?

無事に大学に進学したのち就職活動を始める時期になった頃、周囲と自分との間で世の中の職業や企業に対しての理解度、解像度が違うことに気づき始めました。わたし自身が社会について勉強不足だったというのもあるとは思いますが、書籍やニュースから得る情報ではない、生の体験を伴った職業理解やイメージをもとに、周囲の友人たちが就職活動をしているんだなと感じたのです。
しかし考えてみれば当然です。
かたや田舎産まれの田舎育ち、公務員か医者か銀行員くらいしか大人になってから就く職業の幅を知らずに育ってきた人。かたや都会生まれの都会育ち、親が商社勤めや金融機関勤務で幼い頃から親の知人を含めてたくさんの一次情報に触れてきた友人たち。積み重ねたインプットの量が違う。どれだけ本の中でたくさんの情報に触れていても、「自分の手が届くもの」、リアルな選択肢としてイメージできるかどうか、の距離感が大きく違うのだと知りました。

田舎風景。農閑期の田んぼや畑の写真で、冴えない印象。
地元の風景

「地方の選択肢を広げる」楽天市場との出会い

そんな状況で就職活動には大苦戦をしていた最中、楽天に出会いました。
当時はまだそこまで「オンラインで物を買う」ということが当たり前ではなかった頃で、商売をしていく上でお店の立地が大きな意味を持っていたと思います。北海道の離島の猟師さんが獲る絶品のウニ。銀座3丁目に持ってくればたくさん売れるだろうが、そこまで持ってくるには物流、コネクション、多くのハードルがある。でも、オンラインショッピングモールなら?お店が離島にあろうが銀座3丁目にあろうが、同じ条件で戦える。それを実現するのが楽天市場だ、という話を説明会で聞きました。

地方と都会という場所の制約を取り払うことで、ピュアな核の部分で勝負できるようにすること。

この話を聞いたとき、自分の生まれ育った場所のことが頭をよぎり、自分が何者になれるのかイメージできなかった思い出が蘇ると共に、当時の自分が救われるような気持ちになり胸が震えたことを覚えています。
ここで、地方の選択肢を広げることに関わりたい。
強く志望し、ご縁が叶って、その後8年半を楽天で過ごしました。

「経営の選択肢を広げる」freeeとの出会い

2017年、freeeに出会い、転職しました。freeeが掲げるミッションと、スモールビジネスへの想いに強く共感したからです。大企業とスモールビジネス、経済的資本や人的資本で大きな差のある状況を、テクノロジーで解決する。これもまた、余計なハードルを取り払って選択肢を広げることに繋がると確信し、それに関わりたいと強く思い、転職を決めたのでした。

freeeに転職後に経験した妊娠と出産、その後の子育てが、わたしが「選択肢を広げたい」と考える2つめのきっかけとなります。
妊娠から育児休暇復帰までの話は、復帰直後のnoteに詳しくまとめてありますのでよければあわせて参照してみてください。

何もかもに振り回され、日常の余白を失っていた日々

葛藤が始まったのは、育休から仕事に復帰したあとでした。

まずリズムが取れない。復帰してさぁ色々キャッチアップしてがんばるぞと意気込んでいたところにさっそく子どもが保育園で風邪をひいてくる。いわゆる保育園の洗礼というやつですが、生後初めての風邪ということもあり熱が上がったり下がったり、一緒に胃腸炎も発症して、結局復帰直後の2週間はまともに仕事ができず。さらに離乳食が始まり、毎日順番に食材を試していかないといけない・・・

一方で仕事にはもう全然ついていけません。そもそも半年離れていただけだけれども、freeeの組織は常に変化しており、キャッチアップをする合間にもどんどん新しい情報が飛び込んで来て、情報の渦に溺れていました。会議で自分の意見を言おうとしても、そもそも口が回らず、英語と同じでビジネスの言葉もしばらく使わないとしゃべれなくなるんだと知りました。

そんな中で、事件が起きました。「子どもが保育園のお散歩で芝生の広場をハイハイした」。それがどうしたの?と思われる人もいると思いますが、それが我が子にとって「人生初めての芝生」だったのです。
「子どもの初めてに寄り添ってあげることもできず、仕事もたいしてうまくできない。こんな状態で仕事をしていて意味あるのか?わたしは何をやってるのか?
そう考えながら泣きました。大号泣でした。
今になって思えば自分でも「そんなに?」と思いますが、当時は真剣でした。

この頃は、自分の人生の主導権が自分になく、「仕事」や「子ども」というものに勝手に振り回されていたんだなと思います。自分がひとりの独立した人間として、自分を主語にしていつ何をするか/考えるか/食べるか、すべて決めていたときと比べて、日々に振り回され、日常の余白を失って、どんどん視野が狭くなっていました。

芝生の上に裸足で座っている赤ん坊の写真。顔は写っていないが、足の指が曲がっていてちょっと戸惑っていそうな様子はわかる。
大号泣した週末、改めて公園の芝生に連れて行きました。我が家ではこれがこの子の初めての芝生ということにしています(上書き保存)

たくさんの事例から、自分本来の輪郭を取り戻す

そんなわたしを変えたのは、世の中にあるたくさんの先輩たちの発信でした。
気分転換に開いたインスタで、仕事のキャッチアップのために開いたニュースサイトで、noteで、テレビで、いろんな場所で。現在進行系で自分と同じように振り回されている人、少しずつ取り戻しているよという人、子育てを終えたあとの現在を語る人。育児しているかは関係なく、よりよい社会を後に残そうとする人たちの活動。責任ある仕事をすることへの誇り。難しい仕事をすることのおもしろさ。
振り回される中で、むしろ能動的につかみに行った情報が、自分にとっての救いになりました。
女性であるかどうか、育児しているかどうかに関わらず、たくさんの先輩たちの奮闘する姿を知っていくうちに、自分の状況が相対化されていき、自分がそれまで「母親としてはこうあるべき」という特定の社会規範を勝手に内在化していたということに気づきました。
こうあるべき、という1つの姿があるんじゃなくて、こんな人もいる、こんな人もいる、というたくさんの事例。それらを知っていくことで、自分の中の「あるべき母親像」の枠を取り払って「本来の自分自身」を取り戻していくことができました。

たくさんの事例があることが、誰かの選択肢を広げることに繋がる

これらの経験を通して生まれたのが、冒頭に記載したグロースビジョン=わたしが成し遂げたいことです。

大きくは「後輩世代の選択肢を増やす」、自身の子ども世代やその先も含めて。
選択肢を増やすために自身が取り組みたいのは、ギャップの解消。
大前提として世の中にギャップはたくさんあり、マイノリティ側はギャップを前提に戦わざるを得ないことで、本来のその人の価値を発揮しきれないというケースはいくらでもある
:地方と都会の差しかり
:大企業とスモールビジネスの差しかり
組織の中にも、ジェンダーギャップだけでなく、年齢、言語、学歴、身体・精神的特徴、他にも色んなギャップはある
ジェンダーギャップにかぎらず不合理なギャップは解消していきたい。

社会を前に進める一歩目として

freeeでは2030年に向けて、社内の男性比率・女性比率をともに45%以上(残り10%には性別を分類されたくない人を含む)にすることを目指しています。意思決定に関わる指導的な役割を担う女性の比率も、同水準にすることを目標に進んでいます。

当然ながら、現在の社会において存在するギャップはジェンダーギャップだけではありません。女性が増えればあらゆる問題が解決するかというと、決してそんな簡単な話ではありません。
ですが、少なくとも現状から変化するということは、その過程で必ず誰かの選択肢を広げることになる。
まず一歩目を踏み出し、そしてそれがまた次の事例を生み、後に向けてたくさんの人の選択肢を広げることにつながる。
誰よりもわたし自身がそう信じて、この目標に取り組んでいます。

最後に

freeeDEIアドベントカレンダー2025、いかがでしたか?
DEIをテーマに25日間、いろんなfreeersのパーソナルストーリーを読むなかで、DEIというものが実世界を離れたどこかでお題目として掲げられるものではなく、一人ひとりの自分ごとであるということを改めて実感する日々でした。読んでくださったみなさま、そしてこのテーマに真摯に取り組んでくれたfreeersに感謝します。

よいお年を!


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