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freee法務の本棚大公開ー利用規約・個人情報保護編ー

二度目まして!法務・リスク管理部法務チームの中島です。

今回は、『利用規約・個人情報保護編』として、実際に使用している書籍をご紹介します!

【freee法務の本棚大公開】のコンセプト
『他の会社の法務部ではどんな書籍を使ってるんだろう?』
『どういうときにどんな書籍を使えばいいんだろう?』
と疑問に思っていたので、freeeから発信することで参考にしていただいたり、他の書籍をご紹介いただける機会にならないかな、と思いこのnoteを書いています。
✅契約実務編
✅利用規約・個人情報編👈今回はここ
✅商事法務編
✅労働法務編


1.はじめに

SaaS業界に身を置くfreee法務として、切っても切れない関係の利用規約・プライバシーポリシーは、サービスが増えるほど検討事項も多様化します。

実際に、Legal相談でも利用規約やプライバシーポリシーに関連する相談が頻繁にあります。
また、時代の流れに合わせて法令改正もあるため、改正のキャッチアップから実務の対応に追われることもしばしば・・・

特に最近はデータ利活用も活発になってきているので、法令の範囲で、できることとできないことをしっかり舵取りする必要があります。

そんな中で、freee法務の本棚にどんな書籍を積んでデータの海に挑んでいるか、そちらを今回紹介していきます!

2.利用規約・プラポリ~初めの第一歩~

良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方(雨宮 美季他(著)技術評論社)

【おススメ度】★★☆(はじめて利用規約を作るときには★★★)

どういう本?
誰もが知る「利用規約といえば、コレ!」という書籍です。
はじめて利用規約を作るにしても「どこから取り掛かればいいの?」がよく分からないことも多いと思います。
利用規約・プラポリとは何か、どういう規定を入れることが一般的なのか、一通りのお作法を学べる本です。

どういうときに使う?
利用規約・プラポリを初めて作成するときの効果はバツグンです!
また、一度作った利用規約を見直すときにも、読み返すと何度も味の出る書籍だと思います。
この書籍は、「ウェブサービスを支える」だけあって、特商法上の表示まで丁寧に解説されているので、ドラフトを作成するときにはまず手に取るべきだと思います。

3.利用規約・プラポリ~2歩、3歩先へ~

利用規約・プライバシーポリシーの作成・解釈ー国内取引・国際取引を踏まえて(松尾 博憲他(編著)商事法務)

【おススメ度】★★★

どういう本?
初めの第一歩でご紹介した書籍が長く重宝される書籍という位置づけですが、こちらの書籍は、大手法律事務所が著者に並ぶもので利用規約・プラポリを重厚かつ詳細に解説しています(プライバシーポリシーも同様)。
作成だけでなく理論的なところから解説されているので、辞書としての役割もあります。
個人的にはコラムで様々な事例も紹介されているのが好みですね。

どういうときに使う?
利用規約を初めて作るときにも運用する場面でも、解釈に迷うときや変更を加えるときに、手に取る一冊です。
多種多様なケースに応じて記載例も書かれているので、自社サービスに合わせた記載を作るときには、書式集としても役割も果たしてくれます。

 定型約款の実務Q&A(村松 秀樹他(著)商事法務)

【おススメ度】★★☆

どういう本?
民法改正に伴って新しく規定された定型約款は、利用規約の策定・変更において無視できないところです。
この分野は、今後実務の状況や裁判例の蓄積によって知見が深まると思いますが、立法担当者が自らQ&Aで解説集として一冊の本にしているので、痒い所に手が届く書籍です。
変更のあたりは詳細に解説されているので実務上の対応としてとても参考にしています。

どういうときに使う?
一言でいえば、「迷ったときにはこれ!」です。
利用規約・プライバシーポリシーの作成・解釈』でも十分なのですが、ピンポイントで知りたいときには、こちらの書籍の方が調べやすいです。
使い方としては、目次のQの一覧から、知りたいことを絞り込んでいくとかゆいのに手が届かなかったところに手が届くかと思います。

4.個人情報保護法に挑む~基礎から応用まで~

設例で学ぶ個人情報保護法の基礎(木村 一輝(著)商事法務)

【おススメ度】★★★+★★★

どういう本?
タイトルのとおり個人情報保護法の基礎として、体系的に解説された書籍です。
この書籍の特徴は『法令の解説』→『設問』→『解説』の構成になっている点です。この構成によって、実践的で、個人情報保護法の具体的なイメージを持つことができます。
個人情報保護法を体系的に学ぼうと思ってもなかなかちょうどいい書籍がありませんでしたが、本書の登場により心が救われる法務担当者はたくさんいるのでは!?、と思うほどに良書です。

どういうときに使う?
個人情報に関連する相談が来たときや個人情報保護法を学びなおすときに、とりあえず手に取る書籍の一冊です。
それだけでなく、個人情報保護法を体系的に学ぶ第一歩として本書を読むことで、個人情報保護法という大海原に立ち向かえる、心強い武器になります。

民間事業者向け わかりやすい個人情報保護法ガイド(持田 大輔(著)ビジネス教育出版社)

【おススメ度】★★★

どういう本?
『個人情報保護法の基礎』と同時期に発売された書籍で、第1部で個人情報保護法の総論的な説明があり、第2部以降で実務上の対応が詳細に解説されています。
『個人情報保護法の基礎』も読みやすい書籍の一つですが、こちらも負けず劣らず素敵な書籍です。

どういうときに使う?
『個人情報保護法の基礎』と一緒に、または『個人情報保護法の基礎』を読んだ後に取り組むと効果は絶大です。
相談が来たときには、本書と『個人情報保護法の基礎』を並べて読むとより理解が進み、Legal相談にも対応できるのではないかと思います。

個人情報関連法令スピードチェック(影島 広泰他(著)商事法務)

【おススメ度】★★★

どういう本?
個人情報保護法といえば、影島先生ですよね!
お名前を見るだけで安心感がありますが、本書は個人情報保護法だけでなく他の法令にも触れているのがうれしい限りです。
個人情報保護法だけ気にしておけばいいや、と思ったら思わぬところでトラブルになるので、トータルで理解することができる本書は他に類を見ません。

どういうときに使う?
個人情報に関連する相談が来たときに、これって個人情報保護法だけ気にすればいいんだっけ?とふと疑問に思ったときに、この書籍に威力が発揮されます。
スピードチェックというタイトルのとおり、一覧でザーッと拾うことができるので、個人情報保護法以外の法令を調べるときには必ず手に取る書籍です。

個人情報保護法(岡田 淳他(著)商事法務)

【おススメ度】★★☆

どういう本?
一言でいえば、辞書、いや大辞泉です。
これ以上にないくらいに事細かに解説されている書籍です。
もうここでは表現できないので、ぜひ書店で手に取ってみてほしいです。(片手で軽く読めると思ったらビビる重さです)
痒い所に手が届く、というより、孫の手使って絶対にかゆいところをかいてやるくらいの気概を感じる書籍です。
長大な書籍のわりに、日本語はとても読みやすくて好きです。

どういうときに使う?
個人情報の相談が来て、上記書籍だけではよくわからないなーと思うときに開くと光が見えてきます。
むしろここで分からなかったら外部専門家に聞くしかないので、あきらめましょう。
私は、個人情報保護法の相談が来たときにだいたいのあたりをつけて本書で一通り調べなおしてから臨むようにしています。

5.データ利活用のためにできること~3部作で歴史を作る~

データ利活用のビジネスと法務(大井 哲也他(著)中央経済社)

プライバシーポリシー作成のポイント(白石 和泰他(著)中央経済社)

Cookieポリシー作成のポイント(白石 和泰他(著)中央経済社)

【おススメ度】★★★(freee法務としてはさらに+★★★)

どういう本?
意図的ではないと思いますが、データ利活用にあたって関連するプライバシーポリシーやcookieポリシーも含めて解説された長編作品です。
冒頭で紹介した書籍でもプライバシーポリシーの作成には十分な効果が得られますが、より専門的に理解するとしたら本書も参考にするとより精緻なものが作れるのではないかと思います。

どういうときに使う?
プライバシーポリシーの改定をするときやデータ利活用したいっす!という相談を受けたときに、個人情報保護法の解説書を読みながら、ここにヒントがないかを探しに来ると効果的だと思います。
私自身はあまり本書を開くことはありませんが、データ利活用という視点においては、『データ利活用のビジネスと法務』を参考に社内でも整理を行っています。
事業部からの情報利活用したい!という意欲は毎度面白い取り組みですが、法務としては事故ることはできない危険地帯なので、慎重な取り組みを行うためにも本書を味方につけることは必須です。

6.終わりに

freeeがSaaS企業ということもあって、利用規約やプライバシーポリシー、情報の利活用に関する法務観点の整理には非常に力を入れています。
この分野は体系的に学ぶのにはとても骨が折れますが、『個人情報保護法の基礎』を最初の入口として、どんどん奥地に入っていくとわくわくが得られます。
実際、freee法務でも様々な相談が来て奥が深い分野であるとともにここが法務パーソンとしても武器になるところだと感じていますので、法務・リスク管理部としてもしっかりと力を入れています。
freee法務は、ワクワクが沢山ありますし、本棚で公開している通り新しい知識もどんどん入れながら成長を続けていますので、『freee法務の人に会ってみたい!』『freee法務で働いてみたい!』という方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください!カジュアルにお話ししましょう(●´ω`●)

【予告ーLegal Operations ver.freee】

freee法務の本棚を公開していると、freee法務って何してるの?と興味がわいたのでは!?と勝手に思っています。
本棚だけでなく、法務チームが取り組む『Legal Operations』の実践も紹介していきます🎉

  (法務・リスク管理部 中島一精)