DEIに気づき、忘れ、また気づくfreeeでの日々
こんにちは。freeeで採用ブランディングやオンボーディングを担当しているKussyと申します。
今日は私がfreeeに入って「DEI」というものに気づき、忘れ、また気づき、を繰り返している現状をお伝えしたいと思います。
この記事はfreee DEI Advent Calendar 2024の24日目の記事です。
freeeに入社する前の私とDEI
批判されることを覚悟で言いますが、私はfreeeに入るまで、率直に言ってDEIというものを無視してきたと言われるべき部類の人間です。今思えばあまりに視野が狭く、未熟だったと思います。特に性差という観点では、私の認識は大きく間違っていたと、今になって思います。
例えば、以前より大きな話題になっていた東京工業大学の「女子枠」について。私は傍目にニュースで見ているだけでしたが、こういったアファーマティブアクション的な取り組みには大反対でした。当時は、「特別枠を設けて、相対的にレベルの低い女子学生を入学させて何になるのか」「そのためになぜ男子学生の不合格者が増えなければならないのか、意味がわからない」と本気で思っていました。
これは自分の中に「努力で物事は何とかできる」という考えがあったからだと思います。そして、その根源には「自分の努力で物事を何とかしてきた経験」があり、逆に言えば私は「努力ではどうにもならない経験」を持ち合わせていなかったのです。高校1年時に落第レベルだった成績から必死で勉強したら旧帝大に入れたり、大学で未経験から始めたダンスを必死で練習したら全国レベルの大会でそこそこの成績を取れたり。確かに自分でもそれなりに誇れるくらいの努力はしたのですが、行きたいと思った大学や、やりたいと思ったことを実現できるくらいには裕福だった家庭環境や、サポートしてくれる友人たち、そして私には生きにくさを感じさせなかった社会システムなど、その裏にあった恵まれた環境に気づいてはいませんでした。それに気付かぬまま、自分の手で何もかもを勝ち取ったと、そう勘違いしてきたのです。
freeeに入ってDEIに「気づいた」経験
freeeに入って、その勘違いから目覚めさせられる経験がありました。私の尊敬する男性の上長が、ジェンダー平等の大切さについて話している姿を目にしたのです。ニュースキャスターの安藤優子さんが、超男性社会であるテレビ業界で生き残るために、徹底的に自分を男性化させるしかなかったという話でした。そもそも圧倒的な多数派がいる状況では、マイノリティは自分をマジョリティに寄せなければ生きていくことすらできない。その中で一人ひとりが「自分らしく」「自分の良さ」を発揮することなどできるはずがない。努力ではどうにもならない、ひっくり返せない状況がある人がいる。そんな当たり前のことを私はその話を聞いて初めて認識することができました。
その話自体もそうですが、それ以上に「有名私立大から財閥企業を経てfreeeに入社したマジョリティの社会的強者にしか見えない男性が、ジェンダー平等を重要だと考えている」ということにも衝撃を受けたのかもしれません。リーダーとして組織をより良くするために当たり前のことを理解している上長に対して、何もわかっていなかった自分。その未熟さに気づけたことで、自分の中での「DEI」というものに対する認識がガラリと変わりました。
当時、私は社内コミュニケーションを担当していました。全社のキックオフイベントや月次の社員集会など、さまざまなコンテンツを扱う中で、全ての社員に情報が伝わるということをできる限り意識するようになりました。freeeには英語話者の社員もいれば、障害を持った社員もいます。ジェンダーという観点だけでなくさまざまなマイノリティの方がいる中で、時には至らぬ点にお叱りを受けつつも、全員に同じ情報を届け切るという意志を持って、試行錯誤してきました。
そして忘れ、もう一度気づく
そんなこんなで私の中で少しずつDEIが当たり前になってきている「つもり」だった中で、またもハッとさせられる出来事がおきました。
半年前から現在の採用ブランディングチームに異動し、直近ではDEIチームと共に採用候補者をターゲットの中心とした、「freeeの人と組織に対する考え方を表したパンフレット」作りを行っています。
その中で、私はfreeeの「成長できる環境」を強く推し出そうとしていました。freeeは誰もやったことがないミッションに向かっているため、常に成長できるチャレンジが転がっており、人事制度なども「成長」を基軸として構想されています。自分自身もfreeeに入って劇的に成長できている実感がありました。この「成長環境」を推し出せば、多くの求職者に魅力的に思ってもらえるのではないかと考えていたのです。
しかし「成長環境」の訴求にばかり思考が向いていた自分に対して、DEIチームから以下のようなフィードバックをもらいました。
これまで社内コミュニケーションに対しては全員に届けるという意識を持っていたつもりでしたが、今の自分はそれがまた欠けていたことに気づきました。自分が想像できていた求職者の属性の範囲が、とても狭いものになってしまっていたのです。
freeeは2030年に男女比率を共に45%以上とすることを目指しています(残り10%には性別を分類されたくない人を含む)。これはまさに先述した安藤優子さんのエピソードに対するアンチテーゼです。「スモールビジネスを世界の主役にする」という難しいミッションの達成に向かって一丸となって努力するためには、認知の多様性が担保され、全員が自分らしく自分の良さを発揮できる環境が必要なのです。その前提を踏まえれば、当然マイノリティの人も含めた様々な人がfreeeで働ける、働きたいと思える環境も伝えなければなりません。そして、その環境が伝わって初めて、この会社なら成長できると思ってもらえるはずです。
この構造は最初にお話しした「努力すれば何とかなると思っていた私の経験の裏には恵まれた環境があった」とほとんど同じだと思います。それに気づけなかったということは、本質的には、私はまだ変わることができていないのかもしれません。
こんな感じで、私のDEIに対する考えは脳内で膨らんでは萎んでを繰り返している状況です。それでも、少しずつそれに対して向いている意識は大きくなっている実感があります。少なくともこの文章を書くことで「まだ変われていない自分」を認識することはできているということがわかりました。freeeに入る前の自分と比べれば、小さくない前進かなと思っています。